名古屋大学 大学院農学研究科 畜産学専攻 博士前期課程修了
三重大学 遺伝子実験施設 助手
香川大学農学部 生物生産学科 准教授
茨城大学学術研究院応用生物学野 教授
(担当:農学部、大学院農学研究科)
(兼務:東京農工大学大学院連合農学研究科)
2013年 日本家禽学会賞受賞
2013年 The Journal of Poultry Science優秀論文賞受賞
日本畜産学会所属
日本比較内分泌学会所属
日本家禽学会副会長(2024-2025)
Frontiers in Physiology, Associate Editor
Domestic Animal Endocrinology, Editor
家畜やニワトリなどの家禽は、飼料中の栄養素を効率よく吸収して効率よく肉や卵などを生産しています。そこで私たちは、鶏肉や鶏卵の生産のさらなる向上や効率化を目指し、卵肉生産と密接にかかわる生殖や成長、栄養摂取と食欲の制御に関与するホルモンの働きについて研究しています。その一つがニワトリの抱卵に関する研究です。鳥類は血液中に下垂体から分泌されるプロラクチンの血液中の量が増加すると抱卵を開始し、減少すると抱卵を停止します。しかし、脳内で抱卵の開始と終了がどのように伝えられているかは不明です。そこで私たちは抱卵を制御するスイッチを見つけ出しプロラクチンとの関係について明らかにすることを目指しています。 もう一つは、満腹中枢に作用するレプチンと生殖に関する研究です。鳥類では食欲抑制に働くレプチンが性成熟を促進します。そこでレプチンが孵卵中の胚や孵化後間もないヒナの卵巣の発達への影響について解析しています。
抱卵を開始したニワトリは、餌と水を摂取するわずかな時間を除き、1日の大半を巣で過ごし卵を温め続けます。その期間は約3週間に及びその期間に母ドリの体重は大幅に減少します。また巣ごもりする意志は非常に固く、写真のようにぬいぐるみをお腹の下に入れても微動だにせず、卵と一緒に温め続けます。
肥満は卵巣機能に悪影響を及ぼしますが、私たちはブロイラーを用いて、レプチンと飼料中のタンパク質含量の違いが、ヒナの下垂体及び卵巣における卵巣機能制御遺伝子の発現を変化させることを見出しました。このレプチンや飼料タンパク質により誘発される変化は、性成熟の過程で卵巣発育に影響を与え、ブロイラー成鶏で観察される不規則な卵胞発育につながる可能性があると考えられます(Biology誌の表紙になりました)。