東京大学農学生命科学研究科農業・資源経済学専攻 博士課程単位取得退学
東京大学 農学生命科学研究科 助手
茨城大学学術研究院応用生物学野 教授
(担当:農学部、大学院農学研究科)
(兼務:東京農工大学大学院連合農学研究科)
伊丹一浩『民法典相続法と農民の戦略―19世紀フランスを対象に』御茶の水書房(2003)
伊丹一浩『堤防・灌漑組合と参加の強制―19世紀フランス・オート=ザルプ県を中心に』御茶の水書房(2011)
伊丹一浩『山岳地の植林と牧野の具体性剥奪―19世紀から20世紀初頭のフランス・オート=ザルプ県を中心に』御茶の水書房(2020)
伊丹一浩『製酪組合と市場競争(フィックスト・ゲーム)への誘引―19世紀中葉から20世紀初頭のフランス・オート=ザルプ県を対象に』御茶の水書房(2022)
農業史研究会賞(2001)
日本農業経済学会奨励賞(2004)
尾中郁夫・家族法学術奨励賞(2004)
湯澤規子・伊丹一浩・藤原辰史編著『入門 食と農の人文学』ミネルヴァ書房(2024)
伊丹一浩『山岳地農業における収益の強迫と生活への回旋―19世紀から21世紀初頭のフランス・オート=ザルプ県を対象に』御茶の水書房(2024)
農業や環境の歴史について研究しています。高校の授業でいえば、地理、日本史、世界史、政治経済などを総合したものがイメージとして近いと思います。社会の中で発生している農業や環境の問題の解決には自然科学の知識や技術だけではなく、経済や法制度など社会科学に関わる知識や理解も求められています。そこで、農業と経済との関係や環境と法制度との関係などについて、歴史的な変化を踏まえて研究をしています。主に近代から現代まで(19世紀から21世紀初頭まで)のフランスについて、特に南部山岳地を対象にしています。具体的には、荒廃山岳地の植林事業、製酪組合(チーズ製造組合)に関する政策、20世紀以降の経済の動向と農業の変化との関係などを分析しています。日本との比較も念頭に経済や社会のあり方の基礎的学理的探究に繋がる研究をしています。
主要調査地の1つ、オート=ザルプ県文書館です。多くの史料が所蔵されており、整理番号série Mに所蔵される農業政策や製酪組合の関係史料、série Nの県会議事録、série Pの林業政策や植林の関係史料、série Sの灌漑、堤防、堰堤等の関係史料などを利用しています。史料は印刷物も含まれますが、むしろ多くの手稿史料を扱います。実際の作業は、朝の開館時間から夕方の閉館時間まで、昼休みを除いて、ひたすら史料を閲読したり、撮影を続けます。
山岳地の植林に関する史料です。オート=ザルプ県中部の植林事業区域(サペ=ドゥヴゼ事業区域)の事前調査(1862年7月6日)に関わるもので、縦覧に付された関係書類等に基づき住民から提出された事業計画への意見が記録されています。災害対策のために必要を認める者もいますが、この地の主産業であるヒツジの放牧の妨げになるとして、植林事業に多くの住民が反対していることを本史料から読み取ることができます。