東京大学大学院農学系研究科農芸化学専攻博士課程修了
日本学術振興会特別研究員(筑波大学遺伝子実験センター)
東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 准教授
茨城大学学術研究院応用生物学野 教授
(担当:農学部、大学院農学研究科)
(兼務:東京農工大学大学院連合農学研究科)
2007年 植物化学調節学会学会 学会賞受賞
Hiura et al, Conferring high IAA productivity on low-IAA-producing organisms with PonAAS2, an aromatic aldehyde synthase of a galling sawfly, and identification of Its inhibitor. Insects (2023) 14, 598.
Tokuda et al. Terrestrial arthropods broadly possess endogenous phytohormones auxin and cytokinins (2022) Sci. Rep. 12, 4750
Miyata et al. Identification of an aromatic aldehyde synthase involved in indole-3-acetic acid biosynthesis in the galling sawfly (Pontania sp.) and screening of an inhibitor. (2021) Insect Biochem. Mol. Biol. 137, 103639
植物化学調節学会代表理事、会長(2020─2024)
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry編集委員長(2017─2021)
総説「虫こぶ形成と植物ホルモン」植物の生長調節(2023)
植物ホルモンを中心とした植物の現象を制御する生理活性物質に関する研究を行っています。その中でも主に昆虫が植物上に形成する「虫こぶ」の形成と植物ホルモンとの関係について追究しています。昆虫は刺激物質群を植物に与えて、自分の住まい兼食料である虫こぶを作っていると考えられます。そういった刺激物質の候補として植物ホルモンであるオーキシンやサイトカイニンを対象とした研究をしています。ある種の虫こぶ形成昆虫は高濃度のこれら植物ホルモンを持っていること、またその合成にどのような酵素が関わっているかなど、生合成のメカニズムも徐々に分かってきました。また、明らかにした酵素の遺伝子破壊や阻害剤の開発を通して、虫こぶ形成へ植物ホルモンが必須であることの証明を試みています。
これはハバチという昆虫がシバヤナギという植物の葉の裏に形成した虫こぶです。産卵と共に虫こぶの形成が開始されますが、産卵時に一緒に植物に注入される分泌液には異常なまでに高濃度のサイトカイニンが含まれています。また、卵から孵った幼虫にも高濃度のサイトカイニンとオーキシンが含まれています。
幼虫は虫こぶの内壁を食べていますが、食べた分が新たな細胞分裂によって補充されます。また、食べる部分はアミノ酸などの栄養成分の濃度が高く、虫にとっては理想的な環境にあります。こういった虫こぶ組織の性状はこれらの植物ホルモンによって説明することが出来ます。